プロジェクト概要
デジタルツイン技術を活用し、生産や調達、製造、物流、設備保全等の領域を改善できるか技術調査・事例調査を実施し、支援先企業のデジタルツイン施策の立案と実現方法の検討とアーキテクチャ策定、ロードマップを作成
実現したいこと:
- デジタルツインを活用した製造工程の改善施策の立案
- 世界的な先進事例を元に製造のあるべき姿・目指す姿を明確化
- デジタルツイン及び周辺技術の理解を深め現実的な実現アプローチを検討
支援内容:
1. デジタルツインの先進事例の調査
NVIDIA Omniverse × 自動車産業の事例としてBMW社の取り組みを調査。BMW のグローバル チームが BMW の工場を設計または再構成する場合、Revit、CATIA、その他ポイント クラウドなど異なるソフトウェア パッケージを使用しながら共同作業を進め、工場の設計や配置を 3D で検討できます。すべての変更点はリアルタイムで可視化、「完璧なシミュレーションによる計画プロセスを革命を起こした」(出典:NVIDIA 「NVIDIA と BMW、現実世界と仮想世界が融合された未来の工場を実演」)BMW以外にもメルセデス、トヨタ、GM、ロータス、ボルボ、ジャガー、テスラ等の自動車産業がNVIDIAの技術を使ってデジタルツインやシミュレーションの実現をしている。
また、産業ソフトウェア領域の先進事例を多くもつSiemens社のデジタルツインの実装技術と事例を調査。Siemens社は「製品のデジタルツイン」、「製造のデジタルツイン」、「パフォーマンスのデジタルツイン」の3つのデジタルツインに要素を分解し、それぞれのデジタルツインの間でデータをフィードバックさせることで、開発設計から製造や運用までの一貫したデータプロセスを作成するためのシステムを提供。
図2. ECM/SCM 領域とSiemens社の主力ソフトウェア MOM (引用:シーメンスMOM)
図3. 3つのデジタルツインとクローズドループ (引用:シーメンスMOM)
2. 先進事例と現実の課題、対策について調査

図4. 生成AIとAEIを組み合わせて製造業の品質・生産性を向上(引用:プラスゼロ プレスリリース)
3. デジタルツインによる未来予測シミュレーションと意思決定の自動化
デジタルツインの本質的な価値はリアルタイム解析やシミュレーションの先にある「デジタル上で解析・予測結果をリアルの世界でも再現できること」にある。デジタルツインを作る方法を大別すると①データのみに基づく方法(統計モデル)②原理・物理を表すモデルに基づく方法(物理モデル)があるが、導入したい業務によって①や②の単独でよいか、両方を組み合わせる必要があるか検討する必要がある。また、デジタルツインを活用した未来予測シミュレーションを実現したとしても、ROIを出すには「予測結果に基づく意思決定」による生産性向上が不可欠。そのためにはデータ収集・可視化等のベーシックな所から拡張計画や異常検知、予兆保全等のデータ活用した施策、その先にデジタルツインによる生産性最適化があるため、一足飛びに実現できるものではない。本プロジェクトでは上記の前提を踏まえた上でロードマップを策定した。

図5. デジタルツインによる未来予測・意思決定実現までのステップ
今後の展開
- 需要予測や生産計画プランニングに必要な各種実績データや計画データを集約・可視化
- AI/機械学習による需要予測、生成AIによるアクションプラン提案
- 予測結果を元にしたアクションプランニング(自動発注・配送調整)
- デジタルツインを活用したプラン最適化シミュレーションと組織横断コラボレーション